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映画(ゲキ×シネ)「蛮幽鬼」 感想 ※ネタバレ含む

劇団新幹線の舞台「蛮幽鬼」を映画として編集したものを観てきた。
普通の映画やアニメとは違った、役者の力というものを感じた。


・劇の映画化、「ゲキ×シネ」
汗が出ているのは舞台ならでは。
ロケと違い、爆発やらロケが出来ないという制約のなかでの物語。演者、観客共に見立てや想像力がいる。逆に、殺陣シーン等はCGや差し替えなしの迫力を体感することが出来る。
劇を映像化という点だが、カメラワークが良かった。
全体を撮りっぱなしなのではなく、人物に迫るべきシーンでは様々な角度から迫り、殺陣シーンでは特殊効果を用いたりしてより効果的に魅せるようにしている等、よく台本や舞台を研究しているなと思う。


・内容
常に笑顔の殺し屋等、設定だけ見ると個性的なキャラクターがたくさんでてきるが、この話ではキャラクターをあくまで登場人物として扱っており、話の進行が第一であった。お芝居という特性上、各役者のことを知っている人が多数を占めるとは考えられにくく、また、事前にキャラクターについて周知する機会がそれほどあるとも思えない。だから、媒体としての特性として、劇というものは話がメインになって良いのかもしれないとおもった。
映画より長く、かつ一度で終わる量というのも、一回で分かる伏線をある程度張ったりすることができるちょうどの長さなのではないか。
アドリブやコール&レスポンス等、ある程度の笑いとか出演者の遊び心を出す部分があり、それがいいバランスだったのといい場所にあったので適度な精神的休息が取れた。

原作は「モンテクリスト伯(岩窟王)」らしいが、けっこう話が変わっていて、結末が読めない。
※参考 Wikipediaモンテクリスト伯

・な,なんだってー! 全ては黒幕の書いたシナリオの通りだった!
・黒幕達の手のひらで踊っていく主人公がそれに気付き、打ち破る。
・思いを寄せ合った相手と誤解、思い込み、信念の差から敵対し、最後に分かり合う。
・好きな人のために行動し、散る。自己犠牲。
・分かりやすい悪者を成敗していい人だと思ってたら実はそう見せるためで、それより腹黒だった。
・殺し屋一族、常に笑顔、一族皆殺し、最強、黒幕系
・小物キャラ、お笑いキャラかと思えば壮絶な死に様とかボンクラのふりだったとか。
・登場人物が最期のセリフなしに死ぬ。
・復讐は無益というテーマとなんとなくそう丸め込まれる勢い。

これらのよくある要素を多量含ませることで重厚感が出ていると思う。


アニメとの違いはやはり、人間が演じている以上、キャラクターに設定として書かれることのない個性が生じるところなのではないか。そういうのがリアリティの類だと思う。
全員が自分の役をその話の中で解釈し、成り切って連続で何日も過ごすという効果はやはり、若い声優が演じきれない部分が出るのだと思う。ようは単位時間の劇中シーンに対する俳優が費やす時間が圧倒的な点が徹底的な作り込みを可能とし、映画やアニメ以上の密度あるものを作り出せるのではないか。また、演劇は自分の偏ったイメージではわりと商業的よりも個人のこだわりに依ってスタートされている部分が大きく、それが高い質を生み出しやすいのではないか。
生身であることによる汗とかわざとらしくない涙、肉声が(生のように)響く様子は映画よりも人間的。といか、ありえると思わされる。
実在しない人物を実在する人物が成り切ること(=本気で存在させようと努力すること)が生み出す説得力はやはり凄まじい。

伏線がきれいにおちていてノベライズが読みたいと思った。


※参考 「蛮幽鬼」公式サイト
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by phys-can-tell | 2010-11-13 00:10 | 映画