カテゴリ:小説( 3 )

小説版機動戦士ガンダムユニコーン 1巻

上下巻(機動戦士ガンダムUC(1) ユニコーンの日(上)機動戦士ガンダムUC(2) ユニコーンの日(下) )を読み終わった。

重厚でねっとりと書き込まれた,はちみつの壺をかき混ぜるような感触を得た小説である。アニメを見てから小説を読んでいるが,それぞれの媒体の良さを完全に生かせている少ない例だと思う。

ここからは1巻の話だけに限定する。


アニメは,感動した。
宇宙空間に質量を感じた。宇宙だからと縦横無尽に物が,MSが動けるわけはない。だがアニメ的表現,ガンダム的な表現としてそれを受け入れている自分がいたことを再発見した。
SFのうんちく的なことだが,慣性や質量の定義(その物を動かしにくさ)がガンダムの世界と融合している。自分の生きる場の延長線上にありえる,というのが今までにない感覚だった。

そして何より,戦闘シーンが感涙もので,そこだけ何度見ても飽きない。
前述の質量の存在を意識した動きだけでなく,1機のMSに意思のある人間が1人,乗っていることが明確に描写されているのが改めて新鮮だった。ただのやられ役にも製作者の設定した,登場すべき理由が見て取れる。

理論的にはこんな感じだが,虚勢を剥がすと実際は単に「パーツパージかっこえーーーー(唖然)」であった。
タン,ッタタン,タンっと操縦桿のボタンを叩き,スタークジェガンからミサイルが発射され,増加装甲がパージし,突撃する。その様に見惚れただけである。
映画でハッカーがキーボードにカタカタと何かを打ち込み,最後にEnterキーをターンっと叩く。すると画面にいろんなウィンドウが開き,満足気なハッカーの顔とともに敵地では警報音が鳴り響く,みたいな美学,厨二病の憧れそのものがそこにはあった。

極論,アニメはMS戦だけあればよい。宇宙船内の細かいディティールや人間関係はおまけ。


そして小説では,戦闘なんてストーリーを進める手段,物語内部では暴力的ではあるものの,交渉の一部,という割当が徹底されている。
実際の戦争でも,個々の戦場より戦局,戦略が重要である。もちろんその戦場一つ一つにたくさんの人がいて,それぞれの物語があろうことは確かだが,歴史,いやもっと小さく見積もっても,2つの国の最終的な関連性にはそれは大きな影響がない。

だが,このユニコーンという作品は,ガンダムの世界というものをうまく利用していると,この点で感じる。
なぜか。
ガンダムは一機で戦場を覆し,戦争の行方も左右する存在だからである。

コロニー内のような局地的な場では,MS一機が趨勢に占める,先を左右する力というものが非常に大きい。
一体が持つ,政治力が高い,それも歩兵の集団よりももっと大きな。
MSがあるだけで,戦場が主要な政治の場となるのである。

ガンダムがまだ出てこなくても,MSの戦力というものは全く大きなもので,通常の人はそれに立ち向かうことはできない。
MSに乗るという行為を通じて初めて,他者と撃ちあうことで話し合えるのである。
そのMSを超越し,他のMSを単なる障害に貶める,ガンダムというMSが作る物語が一連の機動戦士ガンダムなんだと思っている。

さらにユニコーンでは,現在の体制を確実に左右するであろう「ラプラスの箱」といファクターがある。
これが,各陣営にとって正体が分からない未知のものであることで,MSを超える物語決定因子となったのが見事だと思う。
通常のガンダムものでは,主眼が「生きる」「生き残る」「守る」ことに比重が置かれがちなのを,ガンダムすら影響下に置く大きなベクトルを示唆できていることがすごい。


と,比較しようにも,アニメと小説どちらも素晴らしい点が全く違う。
もちろん説明不足なアニメ,メカの動きがよくわからない小説,という差はあるが,それはもはや個々の責任ではなく,媒体の特徴そのものであり仕方ない,そう言い切っていいと思える完成度が,両者にはある。
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by phys-can-tell | 2012-07-29 01:31 | 小説

「戦う司書」感想

ライトノベルの「戦う司書」を読了した。
10巻完結で,最後と最初の巻が最も面白くおすすめしたい。

伏線型というよりはたくさんの明示,暗に明示されてる謎を解いて見せるような形式。
3人称視点の地の文が,時系列を動かしたりいろいろほのめかすには便利だと思う。
いわゆる最強という存在がありはするものの登場人物にとっては手の届く範囲であり,それが緊迫感と何が起こるか分からない楽しみを生み出している。
強さだけが焦点でなく,様々な人物に視点をあてることで個々が別の人間であることを示し,世界の説得力を増している。

アニメも再放送を半分くらいみたが,戦闘シーンや絵画的な瞬間を照らすことはできていても各々の行動理由を説明しきれていないのが残念であり,また本という表現に向いている話なんだなと思う。

個人的傾向では,やはり世間的に人気が出た媒体で物語を楽しむのが一番自然に話を受け入れらる。
ハルヒ,ひぐらしはアニメ。
ハリーポッターやウシジマくんは原作がいいと思う。
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by phys-can-tell | 2011-09-25 00:11 | 小説

星真一のショートショート

小学校のときに教科書で読んでから、独特の後味が好きでほぼ全部読んだ。
非常に短い物語の中で、無駄な要素を排して紡がれる話は、先見性があったり、思わぬ結末になったりして、夢中になったのを覚えている。

最近になって、NHKで番組をやっていることを知り、見るようになった。
10分という短い時間の中で、3本のショートショートを流している。
それも、形式が様々で、実写、CG、アニメなど、毎回違った印象を与える方式で作られていて、表現としても優れている番組だと思う。
アニメ一つとっても、童話調や萌え絵、ストップモーションをつかったものなど、その話の内容に最適な方法を模索して作られていて、世界観の再現に貢献していると思う。

番組冒頭のナレーションにもある通り、まさに、大人の童話として、楽しめるものである。



作品として、極限まで贅肉を落とした作風は、長編などではプロットや、テーマそのものになりえるものであり、いかに核心を鋭く伝えるかを考えるのには非常に参考になると思う。
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by phys-can-tell | 2009-09-30 22:49 | 小説