まずはベスト5を。1位以外は特に上下は考えていない。 リネイチャー 古き良きユーロゲーム、という言葉はどちらかというとけなす意味で使われるときが多い。だが、私はカタンを代表とする古き良きユーロゲームに感動してボードゲームという趣味に入り、そういったゲームを探し求めている。大概のゲームは言葉通り昔に発売され、プレミアになっていたり好機がないと触れることができない事が多い。ボードゲームにはまってから数年たち、幸運にもそれらを何度も味わうことができ、いくつかは手元に置いてある。 それらを遊ぶ度に、昔のゲーマーは羨ましいと思っていた。もちろん次々と日本語版が発売し、プレイヤーの数も多い今が素晴らしいことは理解しているが、それでも新作として今は名作となっている作品を前情報なしに遊ぶことができたらどれほど幸せかと思う。 リネイチャーはクラマー&キースリング作の間違いなく古き良きユーロゲームであり、それをほぼ事前に評判を聞くことなく買って遊んで、この夢を叶えることができた。そこに今年一番の感謝を捧げたい。 ゲーム性はインタラクションの塊で、陣取り、洗面器、駆け引き、ここぞというときの無理の効くところなど文句がない。 ソロプレイ感なんてくそくらえである。 2人、3人、4人、全てで面白い。 また、何人プレイでも登場する中立コマによって相手の力をキャンセルできるところは、最近のゲームでソロや2人プレイルールを毎度無理やり考えさせられてきたデザイナーが達した新しい境地すら感じる。 牌の引きというユーロゲームになくてはならないちょっとした運要素もしっかりと残っている。 アートワークも万人に出せる自然溢れるひまわりの絵が基調となっている。 コンポーネントも木製の温かみあるドミノ牌・プレイヤーコマである。 ケレン味など一切ないが、15年過去から現在へタイムカプセルで送られてきたかのようなこのゲームに、今年のナンバーワンを送りたい。 レーベンヘルツ(旧版) こちらは本当に文字通りの意味で、古き良きユーロゲームだった。 手番ごとにバッティングを起こさせ、交渉や握り競りをさせる。テンポが悪くて仕方がない。 だが、本当に必要で大切なものは、ワーカープレイスメントのようにただ先にコマを置いただけで与えていいものではないと思う。粘って粘って、手に入らないならば相応の対価を払わせなければならないと思う。そういったものの積み上げで、我々の人生はできているのではないだろうか。 そうやって手に入れた貴重な権利やリソースを、しかしうまく使えるかどうかはあくまでもプレイヤーの才覚に委ねられている。より広い領地、より多くの騎士、隣を押し広げた領地、人に確保された広大な元中立地帯。 最初に配られた資金や領土を、本当にうまく活用できただろうか。ゲームは結果のみで語られる。 新板は何度かやったが、間違いなく旧版の方がルール、絵柄共に好みであり素晴らしいと思う。 ハスペルクニヒト ソロプレイ感はくそくらえ、分かる。だが、コンボや累積効果による努力が報われる高揚感は格別だろう。 ハスペルクニヒトは世間的には微妙な評価が多い。よく言われているのは、炭鉱のゲームなのに個人ボードの炭鉱に注力していては勝てない、というものである。それは確かにそうで、このゲーム最大にして唯一の欠点である。 しかし、取る資源量による手番順の決定、メインボードでの技術トラックの進展は、他にはないプレイ感覚を生み出している。ドミニオンでいう今回のサプライから最適な動きを考えるように、素晴らしい技術の動きを考え、実行していく。自分の炭鉱はそれに必要な量の石炭を生み出すだけの存在になるか、大量の得点を叩き出せるかは作戦次第である。 この独特で他とあまり似ない奇妙さすらあるゲームの欠点が解消されるかと思い、拡張を導入してみたが鉄という要素が増えるもののむしろ中央ボードがもっと重要になった。なんでだ。 見た目の割に90分位で終わるところを含め、独自進化したガラパゴス的な珍味があるゲームとして、頭から離れない。 引き潮と満ち潮 本当にリメイクを希望するゲームとして、絶版プレミア2万円超え、みたいなものがあるがこのゲームはそこそこ頑張ればまだ手に入る。 そうではないのだが、見た目が地味キングなのと、箱がアドルングどいうコンパクトさのみを売りにしているキャラメル箱で耐久性皆無なので、もっと映えるテーマと絵柄とちゃんとした箱を付けて、誰かこのゲームを再販する世界線を望む。 波が引いたり満ちたりするという謎なフレーバーだが、プレイ感覚としては落ちものパズルに近く、ボードの様相はアメフトやサッカーを連想させる。 置いたカードが、すでにプレイされたカードによって次々と運ばれ、隠れていた味方が現れパスをしてつなげ、相手の陣地へゴールする。敵プレイヤーのミスを指摘すれば得点になるルールがあるように、見落としが発生しやすい連鎖は処理順によって違う生き物のような動きをして、ずっと俺のターンを容易に味あわせる。これが、数字とアルファベットの組み合わせだけで作られているゲームというのは未だに信じられないものがあり、傑作だが怪作でもあると言わざるを得ない。 皆もこの気持ちを体験して、アドレナリンが上がってSAN値が下がる感覚を共有したい。 クトゥルフ 死もまた死すべし 散々ユーロゲームが好き、みたいなことを述べているが何故かアメゲー愛好者だと思われがちである。 違う。CMONのキックスターターのストレッチゴールの物量に煩悩が耐えきれていないだけであり、それらが1/2くらいの確率で良作なのが悪い。 クトゥルフ 死もまた死すべしはその圧倒的おまけフィギュア量に抗えず、キックしたゲームである。別にクトゥルフが好きなわけではなく、作者とアートワークとコスパが良すぎる商品が好きなだけである。 しかも、届くか届かないかくらいのときに、日本語版の発売が発表され絶望した。シナリオやカードに言語依存が多く、フレーバーも大事な世界観なのでそりゃ遊べるなら日本語がいいよと思った。 そうして手元には大量のフィギュアと、大箱3つが届いた。 だが、遊んでみるとアメゲー特有の冗長さはなく、1ゲーム90分程度の中量級だった。また、ゲーム終盤になるにつれ、加速度的に味方が強くなり破滅への道を歩んでいくので、スピーディーで一種の爽快感まであった。 大当たりとはいかないまでも、BGG7.5点は固いゲームだった。 そして時はコロナ流行化、ゲーム会が減って家で休日一人でできる趣味を探していた私は、かねてから気になっていたフィギュアの塗装に手を出してしまう。 その結果がこちら。 シタデルコントラストを用いた意外と簡単で自分にでもできた塗装方法は別記事に譲るとして、これだけ塗れば時間もかかってるし愛着もすごくわく。 なんだかんだで基本セット日本語版に買い直し、シナリオも半分くらいは遊んでいる。 毎日挨拶する間柄だったらいつの間にか好きになっていたパターンで、今ではお気に入りである。 以上が今年のベスト5である。 6位から14位に入るゲームも簡単に残しておきたい。 バラージ 2019年日本のゲーマーで流行していたのを尻目に、どうせワーカープレイスメントだし自分には合わないだろうと思っていた。 が、資金節約のために奥さんとボードカフェに行って未プレイ気になっているゲームのルールをその場で読んで遊ぶという行動をしている中で、やはりこれは深みがすごいとなり購入に至る。 下手くそで全く勝てない。だから嫌いだけど好き。 ルイス・クラーク探検隊 こんなの絶対大好きなやつじゃんと思ったらやっぱりそうだった。 強いものを正当な対価や努力を払って手に入れ、使い倒すのが入っているとシステム的に抗えない。 ゴールドコネクション こいつも古き良きユーロというやつで、ダイスを振ってのバーストありのパーティー寄り。 名作でも昔のゲームは運要素へのアプローチがこなれておらず乱暴だという評はよく見るが、このゲームに関して言えばそれが主軸で欲張ったらそりゃダメだわなとなり納得感がある。 大人のキャントストップアドバンスである。 ザ・クルー 2人でしか遊べていないが、協力ゲームのトリックテイキング、そしてオートマの3人目ルールがよくできている。 相談しては駄目の好きな協力ゲームとしては花火があるが、今作はより一般に受けるよう進化したなと思う。1ゲームが短く失敗してもリトライ、成功したら次のミッションとどんどん繰り返し遊べる長さ。 ありとあらゆるやり残しがあるゲーム対してこれを言うため全く信用に値しないが、言うだけはタダなので「もう少しやってみたい」。 パンデミックレガシー1,2も途中だ…… サイズ コロナで外でゲームできない中、なんとかBGA以外で遊べないかと試行錯誤していた際に友人と遊べたため印象深い。 サイズ自体も所持してはいるが全然稼働しておらず、実質ちゃんと遊べたのはオンラインでの3人プレイのみという悲しみ。 駆け引きや終了フラグの睨み合いなど面白さの片鱗しか見えておらず、期待値も込めてここに記しておきたい。 パシフィックレイルインク 鉄道ゲームというのはだいたい面白いという偏見があるが、これもよかった。 例え、線路の絵柄は特に関係なく四方つながっていますというルールであったり、線路敷設の得点が超絶わかりにくかったり、終了条件を達成した際の点数が大きすぎて目標系が少なすぎるバランスがどうなのという点があったとしても、やはり面白い。 場所を専有し合うワーカープレスメント部分や、どんどん手に入る資源が増えるエンジンビルド、線路の種類の使い分けなど独自の光る部分が多く、欠点に目をつぶらされるくらいの魅力がある作品だった。 トロワダイス あの大好きなトロワが、あんまり好きでない紙ペンゲームになり、しかも何人でやっても一緒のソロプレイ100%である。 そそられるところが殆どないが、だがしかし遊んでみると悔しながらトロワやってる感が押し寄せてきた。 印象に残ったという意味で、ランクインせざるを得ない。 トーナメントアットアヴァロン トリックテイキングが好きだ。でも好事家向けだ。 クソ強能力バトルも好きだ。でも運用がなぁなぁになったり持ち主へ質問ラッシュが来て負担が大きい。 もしも、トリックテイキングをちゃんと遊べるようなルール適用がしっかりできるゲーマーと、クソ強能力バトルで遊んだら? 答、すごく楽しい。 タロットサイズの大判で非常に持ちにくくスリーブ代が高いカードであったりするが、アートワークも最良である。 日本語化して遊んだ甲斐ある、いいセッションが2回もできたので満足である。 おまけ①:奥さんのベスト14 奥さんは自分としかゲームしていないので、自分もこれらを遊んでいる。 ・ルイス・クラーク探検隊 ・ハラータウ ・リネイチャー ・ナイト・オブ・ザ・リビングデッド ・クトゥルフ 死もまた死すべし ・フードチェーンマグネイト 拡張 ・キッチンラッシュ ・バラージ ・メンタルブロックス ・パンデミックレガシー シーズン2 ・マイリトルサイズ ・アンダーマイニング ・タイニータウン ・ヴィレッジャーズ おまけ②:2020年度買ってよかったもの リングフィットアドベンチャー+プロテイン 自宅から出ずにパジャマで運動してもよいという、極限までめんどくさい要素を省いた運動。 プロテインも飲んだが効果がすごく、生まれてはじめて大胸筋というものが目に見えるようになった。 高校生の頃の自分に贈答したい。 ワイヤレスイヤホン 充電器とケースが兼ねているというのがすごい。 失くさず、毎回充電できる。 これもめんどくささの削減幅が大きい。 ボードゲーム用リュック たくさん物を持ち運ぶときに一番負担のかからない方法は、やはり背負うことである。 このリュックは正方形箱2つに小箱6個くらい、財布、水筒、ペン、ルールブックが入る。 防水で、ルールブックは一番外の出しやすい位置にあり、フィット感もすごい。 さらに延長してもっと多くゲームが入るようにもなってしまう。 ベストギアだと思うが、年始にフードチェーンマグネイトとエルグランデとエスケーププラン入れて、タートルネックにマフラーして革ジャンで首を締め付けていたら痛めてひどい目にあった。 何事も程々が一番である。
by phys-can-tell
| 2021-01-12 00:27
| ボードゲーム
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