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ボードゲーム「ビール侯爵」勝てば自分が賢かった、負けると自分がバカだったと素直になれるゲーム

お金がないが城には住みたい地方侯爵が、領内にあるビール醸造所を見て、特産品で儲けようとひらめき、実行に移す感じのフレーバー。箱絵がダサかっこいいと思う。

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写真はボードゲームギークより。
http://boardgamegeek.com/boardgame/84469/furstenfeld

ゲームとしてはデッキマネジメントを主軸とし、作者のフリーゼが得意とする手番順と市場原理を絡めて仕上げられたものとなっている。

デッキの部分は、手札を引いて使い、1枚残して他を好きな順序でデッキの底に戻すシステム。
数ターン後に回ってくる手札をある程度コントロールすることができる。

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6枚しか置けない盤面に、リソース、圧縮、値下げ、手札増加、手番順操作などどれを配置していくのか。
値上がりする城をいつ建築するのがベストなのか。

建築しても勝利条件にしかならない城カードの存在により、いつ拡大再生産に満足して勝利点を加えていくのかというジレンマとお互い牽制しあう読み合いのあるゲームを作り上げている。ぶっちゃけドミニオンっぽい。

ドミニオンと違い、サプライの取り合いや直接的なアタックがない分少しソロプレイ感があるが、そこを市場と手番でまとめた手腕が見事である。


ボードゲームおっぱいでも述べられていたが、「俺のバカ!」という気持ちに自然となれる点が面白い。
つまり、未来の自分の欲しそうなカードを順序を考えてデッキの底に並べていくのであるが、再び巡りあった時の盤面と資産、状況にそれがうまく適合することはなかなかない。
特に終盤、十分なお金がありいつでも勝てる状況なのに城カードがなかなか引けないときなど、数ターン前の自分は何をやっていたのか、となる。

デッキの並び順という不確定要素は前半は確かにランダムだが、終盤はプレイヤー自身の責任であると持っていったところが新鮮であった。
これもある意味、ゆるやかに前半後半にわかれているゲームといえるかもしれない。


ボードゲームにおいて勝つ、というのはいくつかのパターンがあるが、運に左右されすぎるのはあまり好みでない。
天命を尽くして、最後に2択の賭けをする、程度なら勝っても負けても面白いと感じる。
一方、主な勝因がダイス運だと申し訳なくなるし、それで負けると長時間ゲームであるほど釈然としない。


個人的に結果論と呼んでいる勝因のパターンがある。
これは例えば、ラウンドごとにカードをめくりその効果が全体に適用される、購入可能になる感じのゲームにありがちである。
運要素の一種だがダイレクトに効くのではなく、その効力に対してその時点で一番適応できている人に恩恵があったり、そうでない人にマイナス要素を与えるものである。

その効果がどれほど強力かや、あらかじめどのような内容になるか(3択とか)備えておけば大丈夫なものもあるので一口にまとめるのも乱暴であるけれどもとにかく、ゲームが終わった時に各ラウンドの状況に対して最も有利な盤面で臨め続けた人が勝ったなと振返れるものは、そりゃ結果的にああしてればその後のラウンドでうまくまわったけどさぁ、ともやもやする。

決め打ちの作戦が結果的に一番マッチしたから勝てたのではないかと疑問が残るゲームである。
単純にやり込み前提で、知らなかったから対策しなかった出来なかったということもあるが、全員がはじめてだったりしてそれが起こると、すごく複雑な運ゲーなのではと思ってしまう。


ビール侯爵では、カードが求めるタイミングで来ると非常に有利であり、結果論的な勝因になりうる。
逆もしかりで、欲しいものがなかなか来ないと終盤では致命的である。
が、それは過去の自分がそうデッキを仕込んだからと原因を自分に帰結することができ、なんとなく納得できる、納得しやすいのがいい。
結局は自分の選択というランダマイザなので結果論的に捉えることもできるが、少なくとも勝てば自分のマネジメントのおかげ、負ければマネジメントが悪かったせいだと素直に受け入れることはできる。


フリーゼの似たようなゲームでは電力会社が陣取り+市場+手番順+競り、ファクトリーマネージャーが市場+手番順となっていて、このビール侯爵も一連の流れにあるのだろう。

中核要素に共通してる部分が多いので、近い時間内にこれらをやるとまたか、という感覚になる。
今作は他者との絡みが比較的マイルドで、誰が早く上がるかというレースゲーム的な側面が強い。

選ぶときは確かなゲーマーズゲームをやりたいときは電力会社、比較的短時間でジレンマ密度の濃さを噛みしめるときはファクトリーマネージャー、フレーバーも楽しめそこまでガチガチなのは避けたいときにはビール侯爵をやればいいと思う。
終わったあと、俺は水侯爵だったとかそんな風に盛り上がることもできるだろう。


ちなみに上級ルールでは、デッキの底3分の1をあらかじめ並べて開始し、城から収入が入るカードやデッキからいらないカードを取り除く、いわゆる圧縮ができるカードが入る。
底の10枚から残りの20枚を考え、どのプレイングでいけば一番効率のよいかを模索するゲームとなり、全カードを知っている状態からのやりこみにも十分耐えそうな構成となっている。

あちこちで安くてに入りやすいので、一度プレイしてもらうといいのではないか。



by phys-can-tell | 2014-09-08 19:00 | ボードゲーム
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