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ドミニオン 帝国 の革新

ドミニオンはずっと自分のベストゲームであったが、よくご一緒させて頂いている周りのゲーマーからは避けられており立卓は半ば諦めていた。
ところが、最新拡張のドミニオン:帝国はTwitter上などで普段ドミニオンをさほどやっていないようなボードゲーマーからの評判がよく、興味を持たれたようで出させて頂く機会があった。
全員、とまではいかなかったが刺さったプレイヤーもいて、最近プレイすることが増えて嬉しい限りである。

何故、帝国がよいのだろうと考えると、帝国から導入されたランドマークのカード群が答えだろう。
ランドマークは、○○すると勝利点トークンがもらえる、といったものや、ゲーム終了時○○ごとに○点、のような点数を別途得られる内容のカードである。
他のボードゲームで言うならば、直接的には拡大再生産に寄与しないが総数が決まっていて早い者勝ちなのででどんどん取り合う勝利点や、共通の目的カードみたいなものである。

これだけ聞くと、ドミニオンも多方面に媚びて来たな、ちょっとは出しやすくなるかなと思う程度だったのであるが、遊んだ結果、失礼だがドミニオンをそれほどやりこんでいない人達に負けたり、思わぬ接戦になったことがきっかけで考えを改めるに至った。

無視するとまず勝てない。

今までも、勝利点をトークンの形でもらえるアクションカードはあり、ならず者などかなりのパワーカードもあったものの、ドミニオンの枠組みが変わったとは感じなかった。それは、点数がそのルートに行かないという考えも許される程度に留まっているものだったからだと思う。
カード自体を購入する必要がある関係上、コストがありそれに見合った内容に抑え込まざるを得ないという、ドミニオンの基本的デザインの枷である。
それが、サプライにあるだけで影響を与えるカードとして、パン屋のようなセットアップにコイントークンを配って初期手札格差がなくなる状態を作り出すカードの発展として、もはや購入すら必要なく、点数条件すら他カードに委ねたことがブレイクスルーである。

何よりも、ランドマークからもらえる点数があまりも大きいのが最大のミソだと思う。
属州8コスト6点、公領5コスト3点、屋敷2コスト1点、それぞれがカードとしては役に立たずデッキ構築上は非常に邪魔である。
そのような基準に対して、廃棄すると1点、アクションを買うと2点、銅貨を3枚足せば15点など、達成すると点数面以外でマイナスとなる部分に対し明らかにくれる点数が高い。なんならプラスどころかついでに稼げるようなランドマークもたくさんある。

それは、ゲーム自体の考え方が、
”8金を出すと一番点数効率の良い属州が買えるのでそれを目指してデッキを作ってね”
という仕組みから、
こうすると点数が入るよ、”あとなんならお金でも点数を買えるよ”、終了条件の1つにもなっているよ
と再構成されたと捕らえるべきである。
デッキ構築を発明したドミニオンを分解し、勝利点を買うとデッキが弱くなるジレンマ主体のゲームから、勝利点カードだけでなく他のジレンマやルート補助を与えることで、より普遍的なボードゲームになったとすら言えるのではないか。

いかにして早く継続して8金を出すかということに主眼が置かれ、カードのシナジーや強さを議論してきたドミニオン界隈は、参入障壁が高くどんどんプレイ人口が減り過疎化していく未来が見えつつあった。
全く新しい切り口を得たドミニオンが、またいろいろな人に遊ばれ親しまれて欲しいと思う。

by phys-can-tell | 2017-04-02 01:41 | ボードゲーム
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